本専修では学部3年次にフィールドワークの一環として、主に国内で調査実習を行います。文化人類学の研究にはフィールドワークが必須です。調査対象である人々が自分や他者をどのように考え、また様々な行為を何のために実践しているのかということを人々と対面することによって把握し、文化・社会を考察する学問だからです。具体的な方法としては、現地に赴き人々の日常生活を観察する、統計的なデータを取る、インタビューやアンケートを行う、また日常を共有し習慣や規範を内面化するなどがあります。
過去の実習報告
2021年 東京都小笠原諸島父島、目次、記事
2015年 福島県南会津郡只見町
2014年 高知県安芸郡馬路村
2013年 島根県出雲市
2012年 岐阜県大野郡白川村萩町 白川郷
2011年 兵庫県淡路市(旧北淡町地域)
2010年 沖縄県竹富島
*過去の調査報告書は当専修で所有しています。全世界への公開を前提としているわけではないので、表紙のみの公開となります。
調査実習Q&A(2016年度)
調査実習がどのようなものか、学部3年生・4年生、大学院生にインタビューしました。
1.調査地・テーマの決め方
- 学生一人一人が調査地と調べたいテーマのプレゼンをして、そこから調査の規模などを考えながら決めました。各々が調査したいことができる場所を選びましたね。テーマが先で、それが調べられる場所はどこだろうという観点で決めました。(4年生 )
- 私たちの調査地は福島県只見町です。みんながそれぞれ行きたいところを持ち寄って、そこから三つに絞ってグループに分かれてプレゼンテーションしたのですが、決め手は実現可能性でした。私たちは13人と結構人数が多いので、 13人分の調査対象がないといけませんでした。それに8月は宿泊施設が殆ど埋まっているので、宿泊できるのかも条件の一つでした。(4年生)
2.アポイントメントの取り方・インフォーマントとのコンタクトの取り方
- 町役場の人に「こういうことを調査したいんですけど、いい人いませんかね」っていうのを紹介してもらったり、HPから電話をかけたりですね。役場からの紹介っていうのが大きかったような気がします。(院生)
- 馬路村は観光を手広くやっている所だから、ホームページとかに名前とか連絡先がたくさん載ってたんです。それを見てメールをしたりして、連絡先がわからない場合は役所に手紙を送れば大丈夫でした。(4年生 )
3.事前準備における苦労
- 僕のテーマが医療や福祉だったんだけど、今まで勉強してきた分野でもなくて、事前知識が全くなかったので医療を扱っている文化人類学の文献を読んだりはしました。けど、事前の準備が全然足りなかったです。勉強していくべきことが思ったより多かったですね。(4年生)
- これは私個人のことなのですが、自分でテーマをみつけて、自分で文献を調べないといけないことですね。図書館などで文献を探したのですが、千葉大の図書館に文献がなかったり、文献があっても検索のかけかたで文献が出てこなかったりということが大変でした。(3年生)
- 調査実習を予定してた時期と映像人類学という講義の時期がまるかぶりしていて、それを諦めるか違う時期にするかっていう話になったの。違う時期に しても、今度はサークルの合宿を入れていた人が困るということになって、どうしようかって、ちょっと困ったね。日程の調整が。(3年生)
4.印象に残ったこと(期待していること 3年生)(楽しいこと・大変なこと)
- ヒッチハイクみたいなのをしました。車とかバスで移動しなきゃ行けないときがあって、その日はバスで帰らなきゃ行けなくて。「めんどくさいね」っ て話になって、「ヒッチハイクとかで止まるんじゃない?」とかいって、「無理でしょう」みたいなのいいながら手をあげてみたら、止まった。で、「ありがと うございます」ってね。奇跡の瞬間、盛り上がったな、あのときは楽しかった。(院生)
- 最終日の夜のはっちゃけ具合かな。(調査に行った)13人全員女子だったから、女子会みたいなノリで、最後の日は帰るだけだってっていうのもあって「終わったー!」みたいな感じでテンション上がっちゃって、変なことやってたな最後の日は。(院生)
- 苦労したことで印象に残っているのは、僕は結構老人と話す機会が多かったんですけど、まず介護を受けている人たちは耳が遠くて話しづらかったり、 認知症の人などもいたりと、普通には会話できなかったのでコミュニケーションの取りづらさは二重にも三重にもあって、すごいそれが大変でしたね。楽しかったことは村の人に誘われて古い民家で鮎の塩焼きを作ってもらったり、釜で炊いたご飯を食べたりして、村の人との交流はすごく楽しかったですね。(4年生)
- 学生数人で後日、現地のお祭りに追加調査に行って、行きは飛行機で良かったのですが、帰りが夜行バスで、9時間くらいかかってなかなか身体がきつかった(笑) (4年生)
- 夜は現地の方にお呼ばれしていただいて、お料理とかご馳走になったんです。そこで食べた「ぼたん鍋(しし鍋)」が美味しかったな。囲炉裏で煮て、お肉には毛がちょっと残っているんだけどそこがまた美味しくて。あとは現地の皆さんが作っているお米を飯ごうで炊く体験をさせて頂いたのも楽しかったで す。(4年生)
- 楽しみなことは、みんなで泊まることですね。Iさん(講座3年生)あたりが美味しいものを作ってくれると思うので(笑)。せっかくだからとことん夏らしいこと楽しんで来ます。(3年生)
5.実際インタビューを行っての感想・エピソード(服装なども含め)
- 学生には優しくしてくれるので失礼のないように手土産を持って行ったりしました。一番初めのインタビューは緊張しました。何回もインタビューをしていくうちに要領がつかめるようになりました。(院生)
- 向こうの方が非常に協力的だったので特に問題もありませんでした。飲み会なんかでもお話を聞く機会があって、でもせっかくいいお話を聞いても録音ができないからその場でメモしたりあとで必死に思い出して書いたりしましたね。(4年生)
- 私は村の案内人みたいな方と連絡を取っていたのだけれど、あるとき返信が来なくなって、でも催促するのも…と思ってそのままにしていたんです。それから実習に行って挨拶したときに、途中から全然連絡が取れなくなったけど何だったの?ってなってしまって。焦ったけれどちゃんと説明したら分かってくださったし、すごく協力してくださったから、本当に感謝してます。連絡が取れなくなったら、ちゃんと確認しないとダメですね。(4年生)
6.調査以外での現地の人々との交流・調査中の生活やお金
- 宿の主人がラーメン屋を経営していて、そこにはよく足を運びました。現地ではコテージに泊まったので皆で自炊したりしました。(院生)
- 男女で一棟ずつコテージを借りて、朝と夜ご飯は自炊していましたね。お昼は村の食堂で食べていました。夜ご飯はお呼ばれしていただくことも多く て、いろいろご馳走になりましたね。そこで会った方と別の日に村で会うと野菜とか卵とかも頂けたりして。食事面では本当にお世話になっていました。(4年生)
7.報告書をどうまとめたのか、費やした時間など
- 僕は夏に調査実習に行って、その後留学に旅立ってしまったので、実際にやったのはテープ起こし。それは向こうでも出来るからそれをやって送ってました。(院生)
- 報告書のまとめ方は、ひとりひとりが先生からアドバイスをもらいつつ調査してきたことをもとに考察していくっていう形で、その後書いてきたものをみんなで発表し合い、意見を出し合うみたいな感じでした。報告書自体は先生が発注してくれました。(4年生)
(食事の様子)