2022年度 調査実習(和歌山県伊都郡高野町,高野山)

【期間】2022年9月20日~10月1日(12日間)

【調査実習の場所】和歌山県伊都郡高野町

【テーマ】

それぞれのテーマは精進料理、移住、伝承や言い伝え、観光、女人禁制についてである。

【調査地・テーマ決めについて】

各々が調べたいテーマとその調査が実現できる候補地を発表していった。最終的には担当教員の人脈があることも考慮し上記の調査地に決定した。

【事前準備で苦労したこと】

本を読むことやアポ取りに苦労した。特に、メールで連絡が取ることができない相手先の場合にFAXを送らなければいけないときは苦労した。

【調査実習中に印象に残ったこと】

調査地が山ということで、夏でも気温15度と思いの外寒かったので事前に天候を調べておくべきだった。町ではお坊さんがどこでも普通に歩いていることや、17時くらいには店が閉まってしまうことが印象的だった。

【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくりで工夫したこと】

インタビューは難しかった。第一声何を話せばいいのかわからなかったが、やはり雑談から入ると空気が和んで話しやすかった。

今回は教育委員会や高野山金剛峯寺、観光振興課、高野山大学の方々に協力していただいたおかげで、アポイントメントを取りやすい環境で行えた。調査を断られることもあるが、それ自体参考資料になるので素直に諦める。

【コロナの影響で大変だったこと】

相手方にコロナの対策方法を伝えたり、出発前や調査期間中も検査をしたりということが必要だった。

【後輩へのアドバイス】

テーマを固めすぎないこと。ただその事前調査は徹底的にすること。調査中はメモ帳とカメラをずっと持っておくこと。

2021年度 調査実習(東京都、小笠原諸島父島)

【期間】

2021年7月27日~8月5日

【場所】

東京都小笠原諸島父島

【テーマ】

全体のテーマとして「島民とは誰なのか」にまとめ、各々のテーマとしては、エコツーリズム、保全というような自然にアプローチしたものや、土地の所有と利用、島内での子育て、宗教というような人間、文化にアプローチしたものを取り扱った。

【調査地、テーマ決めについて】

コロナ禍での調査の受け入れの問題もあり、調査地は限られた。担当教員とも相談し、PCR検査を受けることを条件に上記の調査地に決定した。調査地が先に決まったため、各々が現地でしたいことを挙げ、それらを一つのテーマにまとめた。

【事前準備で苦労したこと】

コロナの影響でテーマが二転三転して決めるのに苦労した。また、テーマが決まった後も先行研究を調べて仮説立てをするという作業に苦労した。

【調査実習中に印象に残ったこと】

現場でインタビューを行った際、インフォーマントがあるテーマやトピックに関して詳しい人をすぐに紹介してくれたことで島内の人々の間のつながりを感じ、次のインタビューにつなげることができた。

【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくりで重視したこと】

インタビューにおいては、インフォーマントの表情など、言葉に出ない部分を見る、ということを意識した。インフォーマントとの関係づくりに関しては、アポイントを取るにあたって調査の意図やテーマ、質問項目などをしっかり伝えるということを重視した。

【コロナの影響で大変だったこと】

上記にも上げたように、テーマや調査地がなかなか定まらず、決めるのに苦労した。

【後輩へのアドバイス】

先行研究はよく読むべし。

2019年度 調査実習(東京都 八丈島,八丈町)

【期間】2019年9月10日から9月18日までの9日間

【調査実習の場所】東京都八丈島

【テーマ】

それぞれのテーマは黄八丈、踊り、地域おこし、Iターン、カヌー、園芸、文化芸能活動である。

【調査地・テーマ決めについて】

授業で各々が行きたい調査地とテーマを発表していったが、なかなか場所を一つに絞ることができなかった。しかし、授業を担当していた教授の調査予定地が八丈島だったことなどがあり、協議の結果八丈島に決めた。

テーマについては、授業の段階で各人の方向性がある程度定まっていたため、そこから島に関連する内容を決めていった。

【事前準備で一番苦労したこと】

インフォーマントに聞く質問リストを作る上で、どのようなことを質問するか考えるのに苦労した。自分が報告書を書く上で必要になるような質問を立てなければならないため、調査地に行く前の段階で自分のテーマのビジョンをある程度見据えていなければいけなかった。

【実習中に印象に残ったこと】

宿泊先の民宿に私たちのような島外からの人や、近所の人などいろいろな人が来ていたのだが、夕食が終わり、そこからミーティングをした後に、その人たちと一緒に焼酎を飲みながら話し合ったことが強く印象に残っている。

【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくり】

インフォーマントとの携帯での連絡を取っていた時から感じていたが、八丈島の人たちは島外の人に対しても分け隔てなく接してくださっていた。したがって、関係づくりにおいてさほど苦労はしなかった。インタビューにおいても大変協力的であり、インフォーマント経由で新たなインフォーマントを紹介してもらえるということもあった。

宿泊した民宿「ガーデン荘」
ガーデン荘のHPはこちら
学生と黄八丈めゆ工房の山下誉さんとのインタビュー

2018年度 調査実習(山形県最上郡,大蔵村)

【調査実習の場所】山形県最上郡大蔵村

【期間】2018年8月3日から8月10日までの8日間

【概要(テーマ)】
全体のテーマとしては過疎化の進む大蔵村の中で、地域産業や長所をアピールしすることで過疎
と向き合いながら生きる人々の展望や実践を描くことを目指した。それを軸として個人では、高齢者、教育・進路選択、酒造、メンズ農業、観光(肘折温泉郷)、観光と景観(四ヶ村の棚田)をテーマとして扱った。

【調査地、テーマ決めについて】
各自が調査したい地域を発表し合い、最終的に二つに絞り込んで決めた。
各自が取り扱ってみたいテーマがあるか、現地への/現地での交通の便、宿泊できる場所があるか、またメンバーの中で大蔵村に知人が住んでいたことなどが決め手となった。
テーマに関しては各調査地を調べる段階で各自担当したい分野を決め、そこから共通項を探し、全体のテーマを考えていった。

【事前準備で一番苦労したこと】
先行研究の検索と精読に苦労した。自分のやりたいテーマに沿う人類学の文献がなかなか検索で探し当てることができず、教育学の文献を読んでみたりしたものの徐々にそれも億劫になってしまった。結果として後期に報告書を書く際、理論構築に苦戦した。

先行研究の論文で何を読んだらいいのかわからなかった。さらに、それを質問に落とし込めるのか、その質問で何が導き出せるか、また自分が知りたいことや本人が当然と思っているようなことに対してどう聞けば答えが得られるのか、明確でなかったので、これで大丈夫か不安に思うことが多かった。
そうした先行研究を探すと同時に現地での交通手段や宿泊、食糧の確保方法について考えたり、インフォーマントとのやりとりだったり、質問表を作成したりする必要があったので時間管理の面でも苦労した。

【実習中に印象に残ったこと】
現地が車文化だったこともあり、インフォーマントの方に送迎をしていただいたり、移動に使っていたスクールバルの運転手の方がルートを迂回して宿泊地前まで送ってくださったりすることがあった。また、特産品であるトマトをいただいたり、近隣住民の方から豪華なお食事をいただいたり、花火大会に誘っていただいたりと、現地の方のやさしさを強く感じた。
また、実習とは直接的な関係はあまりないが、滞在中に現地でも50年に一度といわれるほどの大豪雨に見舞われ、宿泊地が緊急避難場所になったことが個人的には強く印象に残っている。

【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくり】
インタビュー自体は、緊張したものの二人一組で行ったこともあり殆どが失敗なく行うことができた。しかし中には、何人ものインフォーマントがいたために会話をうまく聞き取れず、苦労したものもあった。
また、インフォーマントとの関係づくりの一環として、インタビューとは関係なく、現地で行われたほたる火コンサートのお手伝いをさせていただいた。その打ち合わせを含め、顔を合わせる機会も多かったことも話しやすさにつながった一因といえるかもしれない。

【報告書の作成手順】
調査が終わったら、まず夏休みの課題としてインタビューを全て文字起こしする。その資料と前期の先行研究をもとに、気になることなどをピックアップしていき、並行して文献の読み込みを行う。

各自のテーマからキーワードを書き出し、つなげられる共通部分を模索し、章の順番を決めた。
今年は基本的に個々人のテーマで1章分担当した。前半は各自の概要や使用理論のまとめから書き始め、後半は、それぞれ先生からアドバイスや校閲をしていただきながら書きあげ、年末には一度草稿を先方へ送り確認を行った。その返答を待ちつつ、論文の最終推敲と、現地の概要や全体テーマ、実習自体の基本要項をまとめていった。
先輩からのアドバイスもあり、書式などをあらかじめ統一していたので校正などは比較的早く終わらせられたように思う。

2017年度 調査実習(長崎県五島市,福江島)

【調査実習の場所】長崎県五島市福江島。主に荒川地区。

【期間】 2017 年 8 月 8 日から 8 月 16 日までの 9 日間

【概要(テーマ)】
全体のテーマは福江島の人びとが漁業、工芸、芸能、宗教、子育てといった様々な実践を、どのように継承され変容しているのかを見ていった。また、個人としてはカトリック教徒、カクレキリシタン、念仏踊り、漁業などのテーマを設定して調査を行った。

【調査地、テーマ決めについて】
テーマを決めてから、調査地を決めた。
今年は3年生が5人と少なかったので、興味があることをもとに各人でテーマを決めた。

テーマに沿った研究ができるか、泊まるところがあるか、交通の便などの点から最終的に全員のテーマに沿った研究が可能な調査地である福江島に決定した。

【事前準備で一番苦労したこと】
本や論文を読んで使えそうな理論を探すこと。予備知識がないもので、当たり前だけど「これを読めば確実!」というのがわからない。ひたすら論文にあたるしかなかったので先が見えなかった。

インタビューで使う質問リストを作ること。どんな質問をすれば何がわかるのか、考えるのが難しかった。

【実習中に印象に残ったこと】
実習開始2日目くらいで、「移動手段がなくても人にお願いすればどうにかなる」っていうのを確信したので、島唯一の公共交通機関であるバスすら停まらないところに乗り込んだこと。行きは宿の人に送ってもらえたんだけど、帰る方法はないまま出発。でもそこで出会った人が車で宿まで送ってくれた。

【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくり】
慣れが大事。最初はうまく言えなかったりしてしまったけど、みんな優しいってことがわかってくると、会話のように話せた。

自分が知りたい、聞きたいという気持ちが先行するとむしろ行き詰まってしまった。逆にうなずいたり相槌打ってるだけでどんどん話をしてくれたから、相手と「よく話す」ことが大切に感じた。

【報告書の作成手順】
報告書の構成は、以下の通り。
・序章(目的と調査概要)
・1章(調査地概要)
・2~6章(一人1章ずつ)
・終章(まとめ)

まず、2~6章でどういうことを書くか、繋がりが自然になるようにどの順番で書くかというシナリオを考えてから、個人で2~6章に取り組んだ。個人の章が完成に近づくと序章、一章、終章を節や項ごとに分担して書いた。どの工程においても先生に何度も校正していただきながらすすめました。

2016年度 南房総市千倉における調査実習報告会

昨年度の文化人類学調査実習を南房総市千倉地域で実施したことについては、過去の投稿で記述しました。

さる4月15日、その調査報告書を調査に協力頂いた方々へ手渡しする機会として、またその内容を説明し地域の方々へ成果を還元する催しとして、報告会を開催しました。場所は朝夷行政センター、参加者は調査協力者の方々、行政職員の方々、地域づくり協議会「きずな」の方々、そして我々文化人類学研究室で調査に従事した面々です。学生中心の慣れない発表でしたが、招待した方々は熱心に聞いて下さり、また調査で取りこぼした新たな情報も頂くことができました。また、人口減少の進む中で、文化人類学的研究を地域の振興に結び付けることの難しさにかんして意見を頂き、学生たちの意識を改めて高める問いかけも下さいました。また、あらゆる機会をとらえて、調査に協力いただいた方々への貢献を考えていきたいと思っております。改めて、千倉地域の方々の調査へのご協力、ありがとうございました!

2016年度 調査実習(千葉県南房総市千倉)

2016831日から94日にかけ行われた調査実習について報告します。

 

今回の調査は千葉県南房総市千倉において、農業・漁業・外国人実習生の3つのテーマを班に分かれて行いました。以下は実習を終えた学生にインタビューしたものです。

 

○調査地、テーマの決め方

 みんなでそれぞれ意見を出し合ったのちに、その妥当性を見極めていきました。そのうちにCOC事業に参加してみよう、ということになり、その中から南房総市の千倉に決まりました。

 

○アポイントの取り方、インフォーマントとのコンタクトの取り方

 事前に行われた予備調査で千倉に訪れたときに出会った人や、連絡を取り、返事を頂けた人にインフォーマントになっていただきました。小売店や定食屋に立ち寄った際に現地の人に紹介してもらうこともありました。

 

○事前準備について

 2度の予備調査を踏まえて先行研究のリストを作ったり、質問項目を考えたりしました。宿泊先はギリギリまで見つからず、大変でした。

 また、追加調査として、農業班は実習時に撮影できなかった写真を撮影しに行くなど随時行いました。

 

○実習で印象に残っていること

 大変だったことはインフォーマント探しと、調査のためにたくさん歩いたことです。漁業班では早朝の調査のために野宿をしました。外国人実習生の班ではインフォーマントに突撃訪問をして成功したことが印象に残っています。

 

○インタビューをしてみての感想

 とにかく緊張しました。考えてきた質問を会話の流れの中で自然に聞くのが難しかったです。うまく話が伝わらず、なかなか返答を得られないこともありました。

 

○調査以外での交流

 実習にいったみんなでご飯を作るなどして、関係を深めることができました。漁業班はインフォーマントからサザエなどを頂くことができ、みんなで食べました。楽しかったです。

 

○報告書のまとめ方

 インタビューをテープ起こししたもの、実習時に毎日結果をまとめていたものを利用し、まとめていきます。3つのテーマをひとつの理論に基づいて報告書にできれば、と考えています。

 

 

__________ありがとうございました。

なお、この実習は「房州千倉のパッチワーク-潮と土に生きる人々の実践-」として調査報告書になっています。