鈴木 伸枝

●略歴

2003年  ハワイ大学文化人類学 Ph.D

●研究テーマ・研究対象

グローバルな状況の中での結婚やジェンダーの問題を中心に、日本人とフィリピン人の結婚、また在日フィリピン人女男およびトランスジェンダーについてとりあげてきました。
また、上記のような研究を始めてから20年経つため、その女性たちの子供世代についても取り上げており、日本やアメリカに住むフィリピン人の子供たちを取り巻く諸問題に取り組んでいます。

●文化人類学を研究するきっかけ

20代初めに、友人を通し東南アジアから来た人々と知り合い、アジアに興味を持ちました。その後、アジアについて学ぶためにアメリカに5年間留学し、文化人類学や東南アジア研究を始めました。

1988年に帰国した際、来日したフィリピン人女性がマスコミで大きく取り上げられていました。彼女たちが搾取や性暴力の対象とされているというような 報道を通し、日本における外国人女性の状況に問題があると感じました。その一方で、エアロビで知り合ったフィリピン人女性の日常生活に触れることで、移住女性 や彼女たちの生き方の多様性や複雑性に気づき、現在の研究に至ります。

●研究で印象に残ったこと

結婚というようなプライベートな問題に取り組むとき、調査は多様に展開します。たとえば、自らの困難を調査者に話すことで抱えている問題から少し解放されることもあれば、抱えている心の傷を大きくさせてしまうこともあります。楽しい雰囲気で進んでいた長時間のインタビューの最後に、インフォーマントが泣き出した時には、その理由が分からず、なぜ調査をしているのか分からなくなったこともありました。また、在日フィリピン人への支援をしている同胞のアクティビストからは、「研究者は私たちからデータを取るばかりで、返してくれたことは一度も無い」と言われたことがあります。この言葉は、今でも忘れられません。インタビューという調査手法は相手との関係性が重要になるため、「自分を知ってもらい、信頼してもらう」という関係づくりを、時間をかけて地道に行っています。

●おすすめの本
岩波『世界』
青土社『現代思想』
Synodos<http://synodos.jp/>

●人類学をこれから学びたい人へのメッセージ
文化人類学では、文化の多様性や「異文化」について学びます。こうした多様性や異文化は、私たちの身近なところにもあります。でも、若い皆さんには、身近なところだけでなく、広く世界に対して目を向けてほしいです。まずは、キャンパス内で留学生や海外経験のある学生と交流したり、彼/彼女らのイベントに参加することからはじめてみませんか。そしてできれば、休みの期間を使って日本以外のところで見分を深めることをお勧めします。直接、多様な文化的実践に触れ、価値観の異なる(と思っていた)人と触れ合うことで、イメージの中にあった「異文化」が、案外身近なものに感じられるようになるし、自分の文化が「おかしなもの」に感じることもあるでしょう。こうした感性を養うことで「学び」を深めることができます。ぜひ挑戦してみてください。

●主な業績

http://chiba-u.academia.edu/NobueSuzuki

※学生によるインタビューに基づく記述